冬の星空


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星座早見
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『冬の大三角形』
木枯らしの吹きすさぶ夜などは、コタツに入ってのんびりしたいところですが、実は1年を通してこの時期の星空が最も美しく、輝いています。本当の星好きは、冬の到来を楽しみにしています。冬の星空には1等星がたくさん見られます。オリオン座のベテルギウスとリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオン、そしておおいぬ座のシリウスです。7つの1等星が南の空いっぱいに広がっていますが、中でもベテルギウス、プロキオン、シリウスの3つは、南の空のほどよい高さに三角形を描いています。これがおなじみの「冬の大三角形」で、ほぼ正三角形をしています。冬の天の川は夏よりずっと淡いのですが、ペルセウス座、ぎょしゃ座を通って冬の大三角形の中を静かに流れています。もし双眼鏡をお持ちなら、天の川に沿って星空散歩をしてみてください。色とりどりの星の間に、淡くぼんやりした星雲や、ひとかたまりになった星の群れが視野の中に飛び込んだりして、思わずため息をもらすことでしょう。その中でも圧巻は、オリオン座の三つ星のあるM42と呼ばれる散光星雲です。オリオン大星雲の名で親しまれていますが、双眼鏡では鳥が翼を広げたような形をしているのがわかります。ところで、冬空の1等星をもう1度良く見てください。ベテルギウスを中心に、残り6つの1等星で六角形を描いています。名づけて冬空の六角形ですが、夜空に上がった六角凧のようにも見えます。これら1等星を目印にほかの星座も探してみましょう。冬空には1等星が7つといいましたが、実はもう1つあります。シリウスのずっと南、地平線すれすれのところに見えるりゅうこつ座のカノープスで、東京では南中時でも地平線からわずか3度しかないため、見つけるのは容易ではありません。中国では「南極老人星」と呼ばれている星で、見れば長生きするといわれています。視界の開けたところで探してみてください。

『エリダヌス座』 20時南中:1月14日
川を形どった星座で、オリオン座のリゲルの脇から西へ東へ蛇行しながら南の地平線の下まで続いています。エリダヌス座の終点のところには青白色の0.5等星アケルナル(川の果て)が輝いていますが、赤緯がマイナス57度に位置しているため、九州南部より南へ行かなければ見ることはできません。ε(イプシロン)星は惑星を連れていて宇宙人がいる可能性のある星として、かつてくじら座τ(タウ)星とともにオズマ計画の対象に選ばれ、米国ウエストバージニア州グリーンバンクにある国立天文台から、波長21センチの電波が送られた星として知られています。
=見どころ=
【NGC1300】
ろ座の境界近くのτ4星の北約2.5度にある棒渦巻銀河です。棒渦巻銀河としておなじみのもので、4900光年の距離にあります。光度は10.4等で、見かけの大きさも6分×4分と小さいのですが、口径8センチで、淡く広がった姿を見ることができます。
【θ(シータ)星】
ろ座の南側の境界近くにある二重星です。アカマルと名づけられていますが、本来はアケルナルと同じ意味で、α(アルファ)星の名であったといいます。この星は3.4等と4.4等の2つの星が8.5秒の間隔で並んでいます。口径6センチで見分けることができます。どちらも輝くような白色の星で、「南天の宝石」と呼ばれる1対です。θ星の東京での南中高度は15度くらいしかないため、高倍率を要する二重星の観測にはシーイングの善し悪しが大きなポイントになります。
【32番星】
おうし座の境界近くにある二重星です。黄色の4.9等と青色の6.3等の2つの星が6.7秒の間隔で並んでいます。色の対比の美しい1対で、口径5センチで分離することができます。
【f星】
θ星の左(東)約13度にある二重星です。黄色の4.9等と青色の5.4等の2つの星が7.7秒隔てて並んでいます。こちらも色の対比の美しい1対で、口径5センチで分離することができます。

『おうし座』 20時南中:1月24日
ヒヤデスとプレヤデスの2つの星団をかかえた星座で、オリオン座の(右上)北西に見えます。おうし座の目印はV字型に並んだ星列で、これがヒヤデス星団で牡牛の頭にあたります。目にあたるところにブルズ・アイ(牡牛の目)と呼ばれる赤っぽい色をした1等星アルデバランがあります。黄道第2番目の星座として古くから知られた星座で、この牡牛はギリシア神話では大神ゼウスの化身といわれています。
=見どころ=
【ヒヤデス星団Me−25】
V字型に並んだ散開星団で、130光年の距離に100個の星が集まっています。肉眼では5・6個の星が見えますが、双眼鏡を向けると視野いっぱいに明滅する星ぼしを見ることができます。日本ではヒヤデス星団を、その形から「釣鐘星」とか「馬の面」と呼んでいます。
【プレヤデス星団M45】
牡牛の肩先にある散開星団で、410光年の距離に120個の星が集まっています。「すばる」の名で親しまれていますが、「むつらぼし」の呼び名もあるように、肉眼で六・7個の星を見ることができます。しかし、双眼鏡を使えば、一気に数十個の星が見えるようになります。プレヤデス星団は生まれたての青白い高温の星の群れで、星団のまわりに淡い星雲が取り巻いています。写真には簡単に写りますが望遠鏡で直接星雲を見るのは難しく、空の状態がよければ、メローペを取り巻く星雲を口径5センチで見ることができます。
【かに星雲M1】
牡牛の角の先のζ(ゼータ)星の北約1.5度にある惑星状星雲です。かに星雲の呼び名は、ロスが180センチ大望遠鏡で見たところ、突起が出ている形から、かにを連想したことに由来します。かに星雲は、1054年に大爆発した超新星の残骸であることがわかっています。その記録は日本や中国の文献に残っています。かに星雲は、光度8.4等(写真等級)、視直径は360秒×240秒と、惑星状星雲としては大きい方なので少し大きめの双眼鏡なら存在がわかります。口径10センチで星雲の濃淡、口径15センチで突起がわかるようになります。

『オリオン座』 20時南中:2月5日
冬の一番寒い時期、オリオン座は南の空にやってきます。斜め一文字に並んだ3つの二等星と、その三つ星をはさんで対照的な位置にベテルギウスとリゲルの2つの1等星が、光輝を競うように輝いています。α(アルファ)星ベテルギウス(巨人のわきの下)は、500光年の距離にあるミラ型の長周期変光星で、2070日の周期で0.4等から1.3等まで変えます。一生の末期に近づいた星で、ベテルギウス自身が風船のように膨らんだり縮んだりしています。膨らんだときは太陽の直径の1000倍、縮んだときでも700倍もあります。表面温度は絶対温度で3200度しかないため赤く見えます。β(ベータ)星のリゲル(巨人の左足)は、700光年の距離にある高温の星で、表面温度は絶対温度で1万2300度もあります。そのため青白く見えます。
=見どころ=
【M42】
三つ星のすぐ南(下)にある有名な散光星雲で、オリオン大星雲の呼び名で親しまれています。位置は三つ星の南の小三つ星と呼ばれる縦に3つ並んだ星の真ん中に位置しています。M42は肉眼でも淡く見ることができますが、双眼鏡を向けると、鳥が翼を広げたような姿がわかるようになります。口径5センチで星雲の中心にあるトラペジウム、すなわちθ(テータ)は5.4等、6.9等、7.0等.8.0等の星が不等辺四角形(トラペジウム)に並んでいる姿を見ることができます。距離は1500光年で、星雲自身の直径は100光年あります。
【馬頭星雲】
三つ星のζ(ゼータ)星のすぐ南(下)にある暗黒星雲です。天体写真ではおなじみで、その形が馬の頭に似ているところから呼ばれています。IC434という散光星雲をバックにして黒々と浮かび上がっています。きわめて淡いため見るのは難しく、大気の透明度のよいところで、10センチ以上の低倍率で挑戦してみてください。
【M78】
ζ星の北(上)にある散光星雲で、広角の双眼鏡ではζ星と同一視野に見ることができます。M42と比べると小さいのですが、口径6センチではっきりし、星雲の北側(上)のほうが明るいことがわかります。

『うさぎ座』 20時南中:2月6日
オリオン座の南(下)にある小さな星座がうさぎ座です。明るい星はありませんが、3等と4等の4つの星でいびつな四辺形を作っているのがすぐ見つけられます。うさぎ座は古くから知られた星座で、紀元前3世紀ごろの医師であり詩人のアラトスは、アテナイ(アテネ)で哲学を学び、マケドニアの宮廷につかえました。そのころに書いたファイノメナ(星空)という天文詩の中に、「オリオンの足元を逃げ回り、大犬シリウスに追われる兎」と記されています。
=見どころ=
【M79】
β星の南南西4度にある球状星団で、すぐ南西に5.1等の41番星があるのでよい目印になります。光度は8.4等で、見かけの大きさは3.2分とやや小型ですが、双眼鏡で丸い星雲状をした姿を見ることができます。口径15センチになると周辺の星が見えるようになります。
【NGC2017】
α星の東約1.5度にある散開星団です。星数はわずか6個しかない小さな星団ですが、口径8センチで黄、オレンジ、青といった色とりどりの星が見えます。星団の中心にあるh3780星は二重星で6.8等と8.3等の2つの星が0.8秒の間隔で並んでいます。かなり接近した一対なのでこちらは分離するのに20センチが必要です。
【R星】
エリダヌス座との境界近くにある変光星です。およそ427日の周期で、5.5等から11.7等まで明るさを変えるミラ型の長周期変光星ですが、興味深いのはこの星の色合いで、驚くほど赤い色をしています。1845年に最初にこの星を見たイギリスのハインドは、「暗黒の視野に落とした血のしずくのようだ」といったところから、ハインドのクリムズン・スター(深紅色星)と呼ばれるようになりました。色の観測は極大のころなら双眼鏡で見ることができます。
【γ(ガンマ)星】
うさぎの足元にある二重星です。3.8等から94.9秒離れたところに6.4等の星が並んでいます。2つの星の間隔が大きいので口径5センチで分離することができます。

『ぎょしゃ座』 20時南中:2月15日
牡牛の角の先にある星(おうし座β星)から北に、星が五角形に並んでいます。これが鍛冶の神の子、エリクトニウスを形どったぎょしゃ座です。1等星カペラを含む明るい星が天の川に描く五角形はとても印象的で、その形から「五つ星」とか「五角星」と呼ばれています。
=見どころ=
【α(アルファ)星】
カペラ(雌の子やぎ)と名づけられたおなじみの黄色の0.1等星です。太陽に似ているといわれていますが、実際は分光連星で、太陽の2.8倍と2.5倍の星が104日間の周期で巡り合っています。
【β(ベータ)星】
メンカリナン(鹿を抱くものの肩)と名づけられた星で、五角形の頭にあります。この星はアルゴル型の食変光星で、3.96日の周期で1.9等から2.16等まで明るさを変えます。
【M36・M37・M38】
いずれも散開星団で、五角形の中および、すぐ外側にあります。天の川にひたるように3つの散開星団がほぼ1列に並んでいますが、五角形のほぼ真ん中にあるのがM38で、その南東にM36、さらに南東にM37があります。距離はM36が3760光年、M37は4700光年、M38が360光年あります。明るさは順に6.3等、6.2等、7.4等で、それぞれ60個、150個、100個の星が集まっています。視野が7度以上の双眼鏡なら、同一視野の中に3つを見ることができます。1番明るく見えるのはM36で、、星雲状の中に20個ほどの星を数えることができます。M37とM38は双眼鏡ではともに星雲状で、M38はひとまわり大きく見えます。口径6センチになれば、いずれも星団らしい眺めになります。
【14番星】
五角形の中の5.2等と8.1等の2つの星が14.5秒隔てて並んでいます。間隔が大きいので口径5センチで分離することができます。なお主星は周期3.79日の分光連星になっています。
【ω(オメガ)星】
5.1等と7.9等の2つの星が5.4秒の間隔に並んだ二重星です。口径6.5センチで分離できます。

『ふたご座』 20時南中:3月3日
双子のカストルとポルックスを形どった星座で、黄道第3番目として古くから知られています。冬の終わりごろ、1.1等星のポルックスと1.6等星のカストルが頭の真上近くにやってきますが、2つ並んだ様子が印象的なところから、「2つ星」「門杭(かどぐい)」「目玉星」「かに目星」「おとどい(兄弟)星」などと呼ばれています。
=見どころ=
【M35】
カストルの足元にある散開星団で、η(エータ)星の北西(右上)約2.5度のところにあります。距離は2600光年で120個の星が集まっています。全体の光度は5.3等で、40分の広がりがあります。双眼鏡では淡い星雲状の中に星がいくつか散らばっているように見えます。星団の星の配列がわかるのは口径6センチクラスからです。
【人面星雲NGC2392】
δ(デルタ)星の南西約2.5度にある惑星状星雲で、人面星雲という変わった名がつけられています。しかしこの星雲の写真を見ればなるほどと納得してもらえるはずです。光度は8.3等で、視直径は47秒×43秒と木星ほどの大きさがあります。双眼鏡では恒星像にしか見えませんが、口径8センチになると淡く丸い像が見えるようになります。
【NGC2158】
M35の南西(右下)約55分にある散開星団です。光度は8.6等で40個の星が集まっています。視直径はわずか5分しかないため、M35と比べるとかなり小さいのですが、星の密集度は高く、球状星団を思わせます。口径6センチクラスでは星雲状で、ここの星を見るには15センチ以上が欲しいところです。
【δ星】
二重星で、3.5等と8.1等の2つの星が6.8秒隔てて並んでいます。口径8センチで見分けることができます。黄色と紫色の美しい1対です。
【38番星】
ポルックスの足元にある二重星で、黄色の4.7等と紫色の7.6等の2つの星が6.8秒の間隔で並んでいます。口径8センチで分離することができます。
【κ(カッパ)星】
ポルックスの南(下)約4度にある二重星です。オレンジ色の3.7等と白色の8.5等の2つの星が7.0秒の間隔で並んでいます。光度差があるため、分離するには口径8センチが必要です。

『こいぬ座』 20時南中:3月11日
オリオン座の脇を流れる冬の天の川の東(左)に位置しているのがこいぬ座で、狩人アクタイオンがつれた猟犬メランポスを形どっています。1等星のプロキオンは、オリオン座にベテルギウス、おおいぬ座のシリウスとともに冬の大三角を描いています。
=見どころ=
【α(アルファ)星】
白色の0.4等で、プロキオン(犬のさきがけ)と名づけられています。名前の由来は、この名がつけられた紀元前5世紀ごろ、プロキオンはシリウスに先だつこと約1時間早く東の地平線に姿を現すことによります。日本では島根地方で、「色白」と呼ばれています。プロキオンは11光年という近距離にあるため、明るく見えます。直径は太陽の1.7倍、表面温度は絶対温度で7500度と太陽より少し高めです。プロキオンから2.2秒から5.2秒のところに、太陽に直径の100分の1という9.5等の伴星(白色矮星)が回っています。その周期は40.65年ですが、間隔が1番開いたときでも小望遠鏡ではまったく歯が立ちません。シリウスの伴星を予言したドイツの天文学者ベッセルは、1884年プロキオンにも伴星が回っていると予言しましたが、光度差が大きいため検出は簡単にはいきませんでした。この伴星を初めて見たのはシェベールで、1896年11月14日のことでした。使用した望遠鏡は、リック天文台の90センチ屈折望遠鏡でした。このときの角距離は4.6秒だったといいます。
【η(エータ)星】
β(ベータ)星の南(下)にある二重星です。5.3等と11.3等の2つの星が4.0秒隔てて並んでいます。光度差が大きいためなかなか難しく、条件がよければ口径10センチで見分けることができます。

『いっかくじゅう座』 20時南中:3月3日
ベテルギウス、シリウス、プロキオンでつくる冬の大三角形の中に位置しているのが、いっかくじゅう座です。この星座は近世になって設定されたものでドイツのヤコブ・バルチウスが1624年に発表したものです。いっかくじゅう座は、3つの輝星に囲まれているため位置だけはすぐにわかりますが、星座の星は4等以下ばかりなので、星ぼしをつないで空想上の動物を描くのは簡単にはいきません。しかし、天の川に位置しているため、小望遠鏡向きの星雲や星団がたくさんあります。
=見どころ=
【バラ星雲NGC2237〜9】
ε(エプシロン)星の東2度にある散光星雲です。その姿がバラの花びらのようなのでこの名がありますが、きわめて淡い星雲なので倍率が高い望遠鏡では見えず、むしろ双眼鏡の方が向いています。ところで双眼鏡を向けると、バラ星雲よりもその中心にある星の群れが視野に飛び込んできます。これはNGC2244という星団で、16個の星が集まっています。口径5センチで2列に並んだ様子を見ることができます。
【M50】
シリウスとプロキオンの真ん中ややシリウス寄りにある散開星団です。距離は2600光年で100個の星が集まっています。全体の等級は6.9等、個々の星は8等から13等で、16分と満月の半分ほどの広がりがあります。双眼鏡では星雲状ですが、口径5センチから星が見えだします。
【NGC2353】
M50のまわりには散開星団がたくさんあります。すぐ南、および南東にはNGC2335、NGC2234、NGC2353があります。順に35個、15個、25個の星が集まっています。明るいのは9等から10等の星が集まっているNGC2353で、口径5センチで数個の星が見えだし、口径10センチで星団らしくなります。NGC2335のすぐ南にはIC2177という散光星雲があります。眼視では難しいのですが、写真には簡単に写ってくれます。
【NGC2261】
S星の南西約1度にあるR星は、9.3等から14等の間で変光しますが、ここに取り巻いているのがハッブルの変光星雲です。1916年、アメリカのE・ハッブルが発見したところからこう呼ばれていますが、星雲がS星の前を通過するとR星が変光するといいます。口径8センチで淡く見ることができます。

『おおいぬ座』 20時南中:2月26日
オリオン座の南東(左下)にあり、シリウスを含むおなじみの星座です。ギリシャ神話では猟師オリオンが連れた犬といわれています。
=見どころ=
【α(アルファ)星シリウス】
全天で一番明るい恒星として知られています。光度は−1.5等で、8.7光年にあります。シリウスの名はギリシャ語のセイリオス(輝くもの、焼き焦がすもの)からきたもので、鋭い光輝から日本では「大星(おおぼし)」とか「青星(あおぼし)」、中国ではらんらんと輝く狼の目にたとえ「天狼(てんろう)」と呼ばれています。シリウスには伴星が回っていることが知られていますが、最初の予言をしたのはベッセルで、18844年のことでした。しかし伴星は見つけられず、それから18年後、レンズ制作家のクラークがディアボーン天文台から注文されていた口径46センチの屈折望遠鏡をテストするため、シリウスに向けたところ、偶然8.5等の伴星を発見しました。伴星の直径は地球の1.7倍ですが、平均密度は水の数万倍もあるという白色矮星でした。それで太陽の1.7倍もあるシリウスをよろめかしていたのです。伴星はシリウスのまわりを49.98年の周期で回っています。1975年には11.5秒まで離れましたが、1994年には2.7秒まで狭まりました。現在は少しずつ二重の間隔が広がりつつありますので、口径25センチクラスで挑戦してみてください。
【M41】
シリウスの南(下)約4度にある散開星団です。2500光年の距離に50個の星が集まっています。全体の光度は5等級で満月ほどの広がりがあります。透明度がよければ肉眼でも存在はわかります。双眼鏡ではシリウスと同じ視野の中に20個ほどの星を見ることができます。口径6センチになると星ぼしがX字形になっているのがわかるようになります。
【ε(エプシロン)星】
シリウスの南(下)約13度にある二重星で、アダラ(乙女たち)と名づけられています。黄色の1.6等と同じく黄色の8.1等の2つの星が7.4秒隔てて並んでいます。光度差が大きいため分離するには口径8センチが必要です。

『とも座』 20時南中:3月13日
この星座を含め、このあたりにはギリシャ神話に登場するアルゴという船を形どった星座がありました。全体の面積が東西南北約70度という大星座だったため、18世紀のフランスの天文学者ラカイユが船尾(とも)座、竜骨(りゅうこつ)座、羅針盤(らしんばん)座、帆(ほ)座の4つの星座に分割しました。その1つがこのとも座です。アルゴ座全体では、肉眼で見える星の数は500個を超えます。しかし日本からはアルゴ船の全景を見ることはできません。りゅうこつ座には全天第2の輝星カノープスがあります。光度は−0.7等で、東京からは南中時でも南の地平線から3度くらいにしかなりません。中国では南極老人星と呼ばれ、一目見ると長生きするといわれてます。
=見どころ=
【M46・47】
シリウスからおおいぬ座γ(ガンマ)星を結び、そのまま1.5倍伸ばしたところにある散開星団です。2つの星団が1.5度の間隔で東西に並んだもので、ペルセウスの二重星団hとxを思わせます。しかしh&xは同じ距離にありましたが、M46は5930光年、M47は3750光年で偶然同じ方向にあります。しかも、見かけの多きさは24分と25分でほとんど同じです。M46には150個で、M47には50個の星が集まっています。光度は6等と4.5等で肉眼で存在がわかります。双眼鏡を向けると同じ視野の中に見え、M46は星雲状で、M47は20個ほどの星が見られます。口径10センチになれば微星が群がる様子を楽しむことができます。また、M46の中のある惑星状星雲NGC2438が円形に見られます。
【NGC2451・2477】
M46・47から南へ20度ほど下がったところにある、もう一組の散開星団です。NGC2451は2.8等で40個、NGC2477は5.7等で300個の星が集まっています。



出典:肉眼と双眼鏡で楽しむ『天体ウォッチング』 林完次著 日本実業出版社刊


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